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HSPの役割

自分がHSPだとわかってから、この先どうしたいのか、考えを整理していました。

まさにそのタイミングで、HSPの役割について深く考えさせられる出来事が起こりました。

ことの発端は、一昨年、ある人が私の職場に入社したことでした。その人を仮にAさんとします。

同じミスを繰り返す、自分のやりたいことにこだわり、仕事の優先順位を無視する、やりたくない仕事を避けようとする、ひとつのやり方に固執する、人の気持ちを逆なでするようなことを言う、協調性がない、場の空気が読めない。

こういう人が職場にいたら、たいていの人が手を焼き、腹を立てるのではないかと思います。

Aさんは、まさにそんな人でした。

同僚達は、Aさんを性格に問題がある人として非難するようになり、私自身もAさんの言動にイライラし、不平を漏らしていました。

その一方で、Aさんへの評価に違和感を覚える自分もいました。Aさんの言動は、単に性格の問題で片づけてはいけない。そんな気がしたのです。

思い浮かんだのは、発達障害という言葉でした。

発達障害のことは、最近メディアで取り上げられていたし、HSPのことを知るまで自分も発達障害ではないかという疑いを持っていたくらいだったので、少しは知っていました。

ただ、本人からも、会社側からも申告があったわけではないので、Aさんが発達障害かもしれないと思うのは私の直感でしかありません。ましてや、私は素人です。

ですから、発達障害のことが頭をよぎってから、Aさんのことに関しては、かなり慎重になりました。

時間がたつにつれ、同僚達も薄々は、Aさんが何かの障害ではないかと思いはじめていました。しかし、はっきりとわからないというのは残酷なもので、Aさんへの非難は日に日にエスカレートしていきました。

会社は営利目的で存在しているので、たびたび業務に支障をきたすAさんの言動を非難する同僚達の言い分も、わからなくはないけれど、Aさんが日々追い詰められていく心理を、自分のことのように感じる。

この板挟みの状態は、私を非常に苦しめました。Aさんと他の人達とどうかかわるべきか、悩みました。

これは、HSPならではの感覚なのでしょうか。

だとするとこの感覚は、HSPの「深く処理する」「感情反応が強く、共感力が高い」という特徴からきているものなのかもしれません。

Aさんが場になじめず、一人になってしまうところが、どうしても子供の頃の自分に重なってしまう。

ある時点から、私はAさんへの非難が、とても気持ちの悪いものになりました。

やがて私は、同僚達がAさんの悪口を言い合う場で発言しなくなり、時に発達障害とAさんの言動を結びつけて説明してみたりしましたが、結局、私にできたのはそれだけでした。

昨年の秋、Aさんは追われるように退職していきました。

退職がAさんにとって良かったのかどうか、それは今もわかりません。

とても、苦い記憶です。


今回のことで、HSPは、常にニュートラルな状態でいることで、いろんな立場を理解し、人と人の間をつなぐ役割を担っているような気がしました。

考え、感じすぎることは辛いこともあるけれど、これこそが、私なのです。
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私がHSPだとわかるまで

2014年、汎発型円形脱毛症という、全身の毛を失ってしまう自己免疫疾患を発症した私は、最近HSPという言葉を知りました。

HSP。ひとことで言うなら、生まれつき、とても敏感で繊細な人となるのでしょうか。

大きな音に圧倒されてしまったり、人混みですぐに疲れたり、何気ないひとことに深く傷つく。これではストレスがたまるのも無理はありません。

HSPのことを調べていくうち、円形脱毛症になった一因に、HSP気質が関係しているのでは? そんな思いが頭をよぎりました。

円形脱毛症は特殊な例かもしれませんが、HSP気質によって生じるさまざまな問題を抱えている人に、自分の経験を書いたこのブログが役に立てば幸いです。


HSP(Highly Sensitive Person 人一倍敏感な人)という概念が、エイレン・N・アーロン博士により提唱されたのは、今から約20年前。その頃は、そんな概念があることすら知りませんでした。

今でこそ、HSPだから、と言うことができますが、数十年もの間、どうしてこんなに生きるのに困難を感じるのか、ずっと疑問でした。

私は幼少期から怖がりでした。両親が連れて行ってくれたサーカスで、猛獣使いのムチの音に驚いて大泣きしてしまったと、後で母が話してくれたことがあります。

幼稚園、小学校では、“集団”が苦手でした。遊んでくれる子が全くいないわけではありませんでしたが、仲のいいグループで共同作業をするときなど、輪に入れず、気づけばよく、ぽつんと一人になっていました。親や先生からも、内気だと言われていました。

勉強ができないとか、運動ができないわけでもないのに、何をするにも、他の子のペースについていくのが大変で、具体的にはわからないけど、他の子と何かが違っていて、そのせいで迷惑をかけているのでは、嫌われているのでは・・・。そんなことを常に心配していました。

社会人になっても、それは変わりませんでした。

仕事の評価が決して低いわけではありませんが、何かに引っかかるたびに考え込んで中断したり、規則正しく丁寧にやらないと気が済まなかったりで、仕事が遅いと言われることもありました。その言葉は今でも心に残っています。

社会人生活が長くなるとそれなりに知恵がつき、自分の中のこだわりを無視して仕事のペースを上げたり、相手に合わせ、表面上だけうまく人と付き合うことに慣れていきました。職場で“みんなと同じ”を装うことができるようになったのです。

ところが、2、3年もすると、“みんなと同じ”を装うのが限界になります。本当の自分を隠しているのだから当然です。本当は、職場の多数の人と、考え方も感情も行動もギャップがあるのに。

仕事が辛い。居場所がない。辞めてしまいたい。その繰り返しです。3年前後で職場が変わる派遣社員だったのは、幸いだったのかもしれません。

怒っている人に共感して自分も一緒になって怒るものの、後でふと我に返ってから、その怒りが自分の感情ではなかったことに気づくこともありました。長いこと自分を押し殺していたから、相手の感情に乗っ取られやすくなってしまったのか。いったい自分は何なのか、わからなくなっていました。

なぜ、自分は他の人と感覚が違うのか、なぜ他の人がスルーすることにいちいち疑問を持ったり、複数のことをやるのが苦手で混乱してしまうのか。なぜ理解されず、ときに上から見られたり、人に振り回されてしまうのか。そして、なぜ、いくつになっても、どこにいても、居場所をみいだせないのか。

私は弱く、人よりも劣っている。

生きるのが苦しく、限界でした。最近では、脳に障害があるからではないかと考えるようになっていました。

そんな時、一筋の光がさしました。今年の1月ごろだったと思いますが、シティリビングで、HSPという言葉に初めて触れたとき、「私のことだ」とすぐにピンときました。

シティリビングに取り上げられたということは、20年前よりもHSPという言葉が世の中にじわじわと浸透してきている証だと言えます。

HSPについての詳しいことは、色々なサイトや書籍が説明してくれているので、ここでは省きますが、HSPという言葉を知るまで、私の生きづらさに理由があるなんて、それも、生まれつきのものだなんて、夢にも思っていませんでした。

ただ、HSPが必ずしも生きづらくなったり、内気になるわけではないようです。幼少期の親との関係や、どのような環境下に置かれるかといった後天的要素が、大きなカギを握っているそうです。

子供の頃にHSPという概念があり、親がそのことを知っていてくれたら、私の人生はもう少し違っていたかもしれません。

シティリビングを読んだあとは、自分が本当にHSPであるのかどうか知りたくて、サイトを探しまくり、アーロン博士のサイトに行き当たりました。

私もそうですが、HSPに当てはまるかどうか調べる段階で、アーロン博士のチェックリストで12項目以上あてはまった、という方は多いと思います。

ただ、これだけでHSPだと断定してしまっていいのかという疑問もありました。実際、今の日本ではHSPを診断できる専門家が限られており、客観的に診てもらう機会がないと言っても過言ではありません。

もう少し白黒はっきりさせたかったので、さらに踏み込んで、アーロン博士の著書『ひといちばい敏感な子』に、HSPを決定づける記述があることにたどり着きました。それによると、HSPは、ただ敏感なだけではなく、以下の4つの性質「DOES」すべてにあてはまり、ひとつでもあてはまらないなら、その人はおそらくHSPではない、のだそうです。その4つの性質とは、

D 「深く処理する」
O 「過剰に刺激を受けやすい」
E 「感情反応が強く、共感力が高い」
S 「ささいな刺激を察知する」

 
これだけ見ると抽象的で、少しわかりづらいですが、納得できる気もします。

HSPは、わずかな刺激に敏感で、ささいなことでも傷つき、疲れやすい一面を持つが、深く考える特性によって、わずかな情報から物事の全体像をつかむことができ、教えられなくても物事の本質を理解することに長けている。共感力の高さは、ときに人の感情に振り回されることもあるが、人によりそう能力の高さを示す。ささいな刺激を察知することで、いち早く危機を回避することもできる。

私は弱くなんかない、劣っているわけでもない。ただ人より敏感で感受性が強く、共感力が高かっただけ。

子供の頃からの悩みが、一気に腑に落ちた瞬間でした。

HSPの特徴はわかりましたが、大切なのは、どれだけHSPの特徴に当てはまるかではなく、敏感さを長所に変え、生きづらさから解放されることです。そのためには、HSPである自分を認めることが一番です。

同じ境遇の人とつながるのも、自分が楽になるひとつの道かもしれません。HSPは人口の15%から20%いると言われています。

多数派が作ってきた社会で、低い評価を受けてきたHSP。しかし、多様化するこれからの社会では、HSPが適切な環境下で、その特性を生かせるようになる。私はそう信じています。
プロフィール

YOU-KI

Author:YOU-KI
HSP・エンパス気質です。2014年1月に円形脱毛症を発症、2、3カ月で全身に広がり、汎発型に。2018年2月には、抑うつ状態と診断されました。

これらの経験で日々感じたこと、体験、得たものなどを発信しています。

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